マツダのフラッグシップモデル「アテンザ」は、同社の新デザインテーマ「鼓動」をモチーフとしたスタイリングや、独自のスカイアクティブテクノロジーがもたらす優れた走行・燃費性能、充実した先進予防安全システムなどが魅力となっています。
また、雪国などに住むユーザーをターゲットとした4WD車も設定されていますが、その実燃費や雪道での走行性能がどの程度の水準にあるのかを徹底評価します!
アテンザの4WDグレードの価格は?
アテンザの売れ筋グレードにおける2WD車と4WD車の価格差は?
当サイト独自の調査によると、アテンザ4WD車で一番の売れ筋グレードとなっているのは「アテンザワゴン」の最上級グレード「2.2XD Lパッケージ」です。
同グレードの2WD車との価格差は、23万7,600円(6速AT仕様/6速MT仕様とも)となります。
アテンザ 2.2 XD Lパッケージ 2WD 3,952,800円
アテンザ 2.2 XD Lパッケージ 4WD 4,190,400円
23万円を超える2WD車との価格差は大きいと思うかもしれませんが、後で述べるように高性能な4WDシステムを採用していることや、装備が2WD車よりも充実していることを考えれば、決して割高な設定とは言えません。
アテンザ4WD車と2WD車との仕様の違いは?
アテンザ4WDのボディスペック
スペック | アテンザ 2.2 XD Lパッケージ 2WD | アテンザ 2.2 XD Lパッケージ 4WD |
全高(mm) | 1,480 | 1,480 |
最低地上高(mm) | 160 | 160 |
車両重量(kg) | 1,610~1,640 | 1,680~1,710 |
燃料タンク容量(L) | 62 | 52 |
4WD車を2WD車と比較すると、車両重量が70kg重いことと、燃料タンク容量が10L小さい52Lとなるのが相違点です。
一方で、一般的に4WD車の方が全高が高く設定されていたり、最低地上高が異なっていたりするケースが多い中で、アテンザの場合は全く同一の数値となっています。
アテンザ4WDのパワートレイン&メカニズム
エンジンは、2WD車には2L/2.5LガソリンNAと2.2Lディーゼルターボの3種類が用意されるのに対し、4WD車は2.2Lディーゼルターボのみの設定となります。
そのほか、6速AT仕様・6速MT仕様ともに、トランスミッションの最終減速比(前進・後退)が異なっています。
アテンザ4WDの装備
4WD車に限り、豪雪などの悪天候時に後続車からの被視認性を確保するリアフォグランプと、ヘッドランプの汚れを洗い流すヘッドランプウォッシャー、および大型ウォッシャータンク&ウォッシャー液残量警告灯が標準装備されます。
いずれも、4WD車は降雪地域で使用するケースが多いことに配慮した装備です。
アテンザ4WDとライバル車との価格差は?
アテンザの最大のライバルは?
アテンザワゴンの最大のライバルには、クロスオーバー仕立てとはなるものの同クラスに属する「スバル・レガシィアウトバック」があげられるでしょう。
2.2XD Lパッケージと競合するグレードは、上級グレードの「リミテッド」になります。
価格はアテンザワゴンの4,190,400円に対し、62万円ほど安価な3,564,000円となっています。
パワートレインの違いは?
スペック | アテンザ 2.2 XD Lパッケージ 4WD | レガシィアウトバック リミテッド 4WD |
最高出力(ps) | 190 | 175 |
最大トルク(kgm) | 45.9 | 24.0 |
車両重量(kg) | 1,690 | 1,580 |
エンジンのスペックは、アテンザワゴンが最高出力190ps/最大トルク45.9kgmであるのに対し、2.5LガソリンNAエンジンを搭載するレガシィアウトバックは最高出力175ps/最大トルク24.0kgmとなっています。
最高出力こそほぼ同一であるものの、最大トルクが約1.9倍も大きいアテンザは、加速の力強さでレガシィアウトバックに大きく差を付けます。
装備の差は?
快適装備面を比較すると、レガシィアウトバックはシートヒーターが前席のみならず後席左右にも備わるほか、パワーテールゲートやフロントワイパーデザイサーが装備されるなど、アテンザワゴンに差を付けます。
一方、オーディオに関してはボーズサウンドシステム+11スピーカーが標準装備されるアテンザワゴンが勝ります。
アテンザ・4WD車の実燃費は?
カタログ燃費と実燃費の差は?
アテンザワゴンの2.2XD Lパッケージ・4WD車の燃費は、6速MT仕様の場合でカタログ燃費(WLTCモード)が18.8km/L、当サイトの調査による実燃費が13.6km/Lとなっています。
達成率は72.3%で、カタログ燃費との乖離は平均的なところです。
2WD車と4WD車の実燃費の差は?
当サイトの調査によるアテンザの2.2XD Lパッケージ・2WD車の実燃費は14.9km/Lなので、4WD車は1.3km/L劣ります。
カタログ燃費の差が0.8km/Lなので、まずは妥当な結果と言えます。
ライバル車との実燃費の差は?
当サイトの調査によるレガシィアウトバックの実燃費は11.6km/Lなので、アテンザワゴンより2km/L劣ってます。
しかし、カタログ燃費の差が3km/L以上あることを考えれば、レガシィアウトバックは健闘していると言えます。
とは言え、実際の燃料代を比較すると単価の安い軽油を使用するアテンザの方がかなり安くなります。
アテンザ4WD車の雪道の走行性能は?
アテンザの4WDはどんなシステム?
アテンザ4WDの概要
アテンザに採用されている4WDシステムは、「アクセラ」シリーズや「デミオ」などと同様、電子制御カップリング採用のアクティブオンデマンド式「アイアクティブAWD」です。
アテンザ4WDの制御
アクセル開度やステアリング角度といった「ドライバーの意図」、加速度や外気温度などの「路面状況」、エンジン駆動力や4輪のスリップ量およびその予兆などの「走行状況」を4WDコントロールモジュールに取り込み瞬時に演算、後輪に適切な駆動力を伝達するよう電子制御カップリングに指令を送る制御を行っています。
また、前輪の微小スリップを瞬時に察知する「前輪スリップ予兆検知システム」や、2WD走行時にも常時後輪に微小トルクを伝達させたままスタンバイする「トルク制御システム」などの採用も、アイアクティブ4WDならではの特徴となっています。
アテンザの雪道での実際の走行性能は?
アテンザ4WDの発進・加速時
雪道の中でも特に滑り易いアイスバーンにおいては、2WD車の場合ディーゼルターボエンジン特有の強大な低速トルクがかえって仇になり、いかに高性能なスタッドレスタイヤを履いていても、前輪に盛大なホイールスピンが発生してスムーズな発進と加速が行えません。
その点、4WD車は発進直後に4輪に適切なトルクが配分されるため、ほとんどホイールスピン無しに効率的な発進・加速が行えます。
アテンザ4WDの登坂・降坂時
アテンザ4WD車は、登坂性能においても同2WD車を大きくリードします。
センサーが勾配を検知すると、前輪がスリップする前に後輪へのトルク配分を行うため、スタックすることなく力強い登坂が可能です。
また、降坂時も4輪にエンジンブレーキが効くケースが多くなるため、前輪のみにしか効かない2WD車よりも確実な減速が可能です。
アテンザ4WDの通常走行時
雪面のミュー(路面抵抗)が変化しても、状況に応じて100:0から直結(50:50)の範囲で連続的に前後トルク配分が変化するため、安定した走行が可能です。
コーナリング時においても、ステアリング操作量に応じてエンジントルクを変化させるマツダ独自の技術「G-ベクタリングコントロール」のサポートもあり、ニュートラルなハンドリングを実現しています。
また、ワイドトレッドとセダン/ワゴンならではの重心位置の低さも、運動性の高さに貢献しています。
アテンザ・4WDのまとめ
アテンザの4WD車の雪道での走行性能は、高性能な4WDシステムや電子デバイス、クロスオーバーSUV「CX-3」と同じ160mmの最低地上高などにより、セダン/ワゴンとしてはかなり高い水準にあります。
いわゆる「生活4駆」のレベルを超えていることは間違いなく、雪国に住む人に安心しておススメできます。
一方、燃費性能に関してもこのクラスの4WD車としては優秀で、アテンザの4WDは全方位的に欠点の少ないモデルと言えるでしょう。
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