日産のミディアムSUV「エクストレイル」は、ハイブリッド車の設定や3列シート7人乗り仕様も用意されるユーティリティーの高さ、先進の運転支援システム「プロパイロット」の採用などが魅力となっています。
駆動方式は2WD(FF)と4WDが設定されていますが、SUVなのでやはり本命は後者でしょう。
その4WD仕様の実燃費や雪道での走行性能がどの程度の水準にあるのかを、徹底的に評価します!
エクストレイルの4WDグレードの価格は?
エクストレイル売れ筋グレードにおける2WD車との価格差は?
エクストレイルの4WDグレードで一番の売れ筋となっている「20X・2列シート車」の場合、2WD車との価格差は20万6,280円となっています。
エクストレイル 20X 5人乗り 2,548,800円
エクストレイル 20X(4WD)5人乗り 2,755,080円
4WDシステムの詳細については後述しますが、高度な制御を行っているので、約20万円という価格差にも納得がいきます。
エクストレイル4WD車と2WD車との仕様の違いは?
エクストレイル4WDのボディスペック
スペック | エクストレイル 2WD | エクストレイル 4WD |
---|---|---|
全高(mm) | 1,730-1,740 | 1,730-1,740 |
最低地上高(mm) | 200-205 | 200-205 |
車両重量(kg) | 1,450-1,580 | 1,510-1,640 |
ボディサイズは2WD、4WD共通で車両重量が4WD車の方がグレードによって、50~60kg重くなるのが唯一の相違点となります。
エクストレイル4WDの装備
4WD車のみの装備として、雪道などの滑り易い路面を下る際に、ペダル操作無しで車速を一定の低速度(4~15km/hの範囲で設定可能)に抑えて走行できる「アドバンストヒルディセントコントロール」が備わります。
エクストレイル4WDとライバル車との価格差は?
エクストレイルの最大のライバル車は?
エクストレイル同様に走破性を重視した本格派SUVで、かつ排気量やボディサイズが近いモデルとして、「スバル・フォレスター」が筆頭にあげられます。
エクストレイル・20Xと競合するグレードとしては、中間グレードの「2.0i-Lアイサイト」が該当するでしょう。
価格はエクストレイルの275万5,080円に対しフォレスターは268万9,200円で、その差は65,880円となります。
エクストレイル4WDとの仕様・装備の違いは?
パワートレインは両者ともに2LガソリンNAエンジン+CVTで、エンジンのスペックにも大きな差はありません。
安全装備面では、両者とも衝突被害軽減ブレーキをはじめとする予防安全システムが標準装備される一方、エクストレイルではオプション扱いとなっているSRSサイド&カーテンエアバッグが、フォレスターには標準で備わる点が大きな違いになります。
また、快適装備面でもフォレスターにはエクストレイルには備わらないシートヒーターやLEDヘッドランプが標準装備されるなど、総じてコストパフォーマンス面ではフォレスターが勝ります。
エクストレイル4WD車の実燃費は?
カタログ燃費との差は?
エクストレイル20X・4WD車のカタログ燃費(JC08モード)は15.6km/Lですが、当サイトの調査による実燃費は11.5km/Lで、達成率は73.7%となっています。
カタログ燃費との落差は、標準的なところでしょう。
エクストレイル2WD車との実燃費の差は?
当サイトの調査によるエクストレイル2WD車の実燃費12.0km/Lと比較すると、4WD車は11.5km/L で2WD車に対して95.8%の数値となります。
2WD車との燃費の差が小さいのは、雪国在住のユーザーなどにとって大きなメリットと言えるでしょう。
エクストレイル4WDとライバル車との実燃費の差は?
当サイトの調査によるフォレスターの実燃費は11.4kmなので、エクストレイルと互角です。
カタログ燃費もほぼ互角なので、妥当な結果と言えます。
エクストレイル4WD車の雪道の走行性能は?
エクストレイルの4WDはどんなシステム?
4WDの概要
エクストレイルの4WDシステムは、「インテリジェント4×4」と呼ばれる電子制御式のアクティブオンデマンド型が採用されています。
4WDの制御
各種センサーの情報からコンピューターが走行状態や路面状態を把握し、前後輪のトルク配分を100:0から50:50の範囲で可変することで雪道やダートなどでの走行性能を高める「AUTOモード」。
前後輪のトルク配分を約50:50に固定することで、積雪した急こう配の走行やスタックからの脱出などで威力を発揮する「LOCKモード」、前輪駆動で走行し、乾燥路での経済性を高める「2WDモード」の3つの走行モードの選択が可能となっています。
エクストレイルの雪道での実際の走行性能は?
エクストレイル4WDの発進・加速時
走行モードをAUTOモードにセレクトすると、圧雪路でも非常にスムーズな発進および加速が可能になります。
前輪のスリップを検知するとはじめて後輪に駆動力を伝達するパッシブオンデマンド型4WDシステムと異なり、アクセル開度や路面状況などに応じてキメ細かいトルク配分を行うため、不自然な挙動を感じることは全くありません。
試しに同じ圧雪路において2WDモードで発進を試みると、ホイールスピンが生じて思い通りに前に進まない上、方向性が定まらず、2WDと比較すると4WDの威力を改めて痛感させられます。
エクストレイル4WDの登坂・降坂時
それほど急でない上り勾配なら、AUTOモードで十分対応できます。
FFモードの場合は前輪のトラクションが確保されず、最悪の場合立ち往生してしまいますが、AUTOモードを選んでおけば4輪が雪面をしっかりグリップし、問題なく前進できます。
もしAUTOモードでも前進が困難になるほどの急こう配に差し掛かったら、LOCKモードに切り替えれば登りきることができます。
また、急な下り勾配においては、ブレーキ操作に合わせエンジンブレーキの強さを加減してくれる「インテリジェントブレーキアシスト」や、前述したアドバンストヒルディセントコントロールが威力を発揮し、オーバースピードに陥ることなく安全に走行できます。
ただし、フットブレーキは効きがやや唐突なので、コントロールに気を使う必要があります。
エクストレイル4WDの通常走行時
持ち前のきめ細かい前後トルク配分制御のお陰で、刻々と路面状況が変化する雪道においても安定した走行が可能です。
仮に降雪によるデコボコの激しい道に差し掛かった場合でも、エンジンやブレーキの制御により車両の揺れを抑制する「インテリジェント ライドコントロール」の働きでスムーズに走行できます。
さらに、コーナリング時は前述のインテリジェント ブレーキコントロールが速度調整をアシストしてくれるほか、4輪のブレーキを個別に制御してコーナリング時の安定性を高める「インテリジェント トレースコントロール」のサポートもあるので、ほとんどスリップすることなく狙ったラインをトレースできます。
仮にオーバースピードなどによりクルマが滑ってしまった場合でも、修正が容易なので恐怖感はありません。
エクストレイル4WDのまとめ
エクストレイル4WD車の雪道での走行性能は、4WDシステムの完成度の高さや電子デバイスの助けにより、非常に安定感のあるものとなっています。
また、最低地上高が205mm(ハイブリッド車は200mm)もある上、電気的に4輪が直結状態になるLOCKモードが備わるため、深雪路の走破性も優れています。
総じて、雪道での走行性能は数多い4WD車の中でもトップレベルにあります。
しかし、標準装備されるマッド&スノータイヤは浅い新雪までにしか対応できないので、様々な状況の雪道を走行するためにはスタッドレスタイヤの装着が必須になります。
一方、燃費性能はこのクラスのSUVとしては比較的良好である上、2WD車との差が少ない点が評価できます。
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